Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#075「痔は自然に治るの?」
今回は「痔は自然に治るのか」という質問をいただきました。今までチャンネルで解説している通り、痔の多くの症状は生活習慣の改善で自然治癒する可能性があります。ただし、中々治らない痔を放置するのは危険です。今回は痔の自然治癒や注意点について解説していきます。
痔は自然治癒する可能性がある
結論から言えば、当院では痔は自然治癒すると考えています。痔は生活習慣病です。生活習慣の乱れによって排便がスムーズにできなくなったり、免疫力が低下することで発症します。例えば、食物繊維が不足すると便が硬くなり、肛門が傷つきやすくなります。また、睡眠不足や深酒、運動不足などは自律神経の乱れや免疫力の低下を引き起こし、痔が悪化する要因になることが多いです。
裏を返せば、生活習慣を見直し、スムーズな排便と免疫力の向上を目指せば、痔が自然と改善していく可能性が高いということになります。加えて、排便の際にいきまないように、肛門への負担を少なくすれば、痔の症状が悪化することもなくなるため、さらに早期の治療が可能です。
事実、当院でも90%程度の患者様は手術をせず、生活指導と薬による治療だけで快方に向かっています。
なかなか治らない場合の放置は危険
痔が自然治癒する可能性がありますが、なかなか治らないのであれば放置するのは危険です。例えば出血や痛みが強い場合や、セルフケアでいつまで経っても良くならない場合は、生活習慣を指導してくれる専門医に受診し、症状の把握と最適な治療を行うことが重要になります。
ほとんどの痔は手術しなくても治療が可能ですが、痔瘻の場合は手術が必要になることが多いです。また、痔の悪化から直腸がんに発展することもあるので、痔が中々治らないのであれば放置せず、医師の診察を受けるようにしましょう。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。