Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#094「排便時の痛み。やはり専門医に診てもらうべきでしょうか?」
前回に引き続き、今回もライブ配信第2回にいただいた質問についてお話しします。「排便時に痛みを感じることがありますが、しばらくすると治り、また時期が経つと痛むということを繰り返していますが、専門医に見てもらうべきでしょうか」という質問をいただきました。結論としては痔の症状があるのであれば医師の診察を受けるべきです。今回は痔の症状がある時に診察を受けるべき理由について解説していきます。
痔の診察を受ける最大の理由は症状の特定
基本的には痔の症状に近いものを感じたら、専門医の診察を受けることをおすすめします。痔の診察を受ける最大の理由は症状の特定です。今回の質問者様は状況的におそらく裂肛の症状があるのだと思いますが、裂肛1つをとっても症状の重さや傷口の状態など、確認すべきことが多々あります。
例えば裂肛であれば、慢性化しているのであれば傷口の両端に肛門ポリープができたり、潰瘍化している可能性があります。裂肛を繰り返すうちに傷口付近の筋肉が繊維化し、肛門狭窄になってしまうかもしれません。
以上のように、最初は裂肛でもだんだんと別の症状に派生していくことがあるのが痔です。現状は症状が軽く済んでいても、今後症状が悪化する可能性があります。当然、痔は症状が軽いうちの方が、短期間かつ体に負担をかけずに治療できます。
痔の放置は再発の悪循環につながる
痔の放置は症状の悪化だけでなく、再発の悪循環にもつながりやすいです。痔の症状が治り始めていたとしても、再度痛みが出る恐怖心から、排便の際に無意識に肛門の筋肉が萎縮してしまいます。肛門の筋肉が萎縮すると便が硬くなりやすくなるので、患部への負担が増え、再度症状が再発してしまう可能性が高いです。
以上のような悪循環に陥ってしまうと、痔の症状が慢性化することになります。痔の症状が慢性化すると症状が悪化し、最悪の場合は手術が必要な段階になってしまうこともあるので、痔の症状を自覚した際には早めに医師の診察を受け、症状が軽いうちに治療をはじめるのがおすすめです。
症状が軽いうちは生活習慣の改善や薬での治療が可能なので、体への負担も少なく、再発のリスクも低くなります。人生を終える時まで健康な肛門を保つためにも、少しでお違和感があったら医師の診察を受け、適切な治療を行いましょう。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。