治療と実績

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痔の種類と治療法について解説いたします。

痔核[じかく](いぼ痔)

患者さんの自己治癒力を引き出す生活指導を行い、88%は手術を行っておりません。
手術となってしまった場合には、「ICG併用半導体レーザー照射法」と「括約筋保護根治手術」のいずれかを行っております。

ICG併用半導体レーザー照射法

ICG(インドシアニン・グリーン)とは、肝機能の測定に用いる人体に無害な色素です。このICGにはレーザー光線を吸収する性質があり、これを利用することでレーザー光線の照射を制御する治療法です。痔核を直接切開せず、レーザー光線を照射するだけなので、出血や痛みが非常に少なく、短い入院日数で済みます。

括約筋保護根治手術

肛門括約筋を保護しながら行う手術法で、肛門括約筋を一切傷つけません。このため、筋肉を傷つけることで起こる後遺症の心配が全くありません。内痔核を完全に取り去る一方、内痔核の上にある肛門粘膜をできる限り傷つけないように保護します。さらに、半閉鎖法で用いる自然にとける糸を使って縫合し、粘膜にダメージを与えません。

裂肛[れっこう](切れ痔・裂け痔)

裂肛は、いわば肛門の外傷で、硬い便が肛門から出るときに歯状線により外側の肛門上皮が切れて裂け、激しく痛んだり出血する痔の症状です。切れ痔、裂け痔とよぶこともあります。裂肛の手術は殆ど有りません。

肛門狭窄[きょうさく]

裂肛が繰り返し起こって長期間におよぶと、切れた粘膜が治るときに引きつれて、肛門が狭くなっていきます。
その結果、便が出にくくなり、細い便しか出せなくなるのが、肛門狭窄です。
当院では、生活指導により患者さんの81.5%が手術をせずに改善しますが、18.5%はスライディング・スキン・グラフト法(皮膚弁移行術)による手術を行います。

スライディング・スキン・グラフト法

慢性化し、傷口が潰瘍化した裂肛の場合に行われるのが、スライディング・スキン・グラフト法(皮膚弁移行術)です。潰瘍化した傷口をメスで切開し、正常な肛門皮膚をスライドさせて裂肛の傷跡を覆ってしまう手術法です。傷跡がすぐに皮膚でおおわれてしまうので、内肛門括約筋に傷がついていないため、痛みやけいれんの心配もありません。肛門が狭くなることもなく、7~10日の入院で済みます。

痔瘻[じろう](あな痔)

痔瘻は、肛門腺に膿がたまり、瘻管よ呼ばれる管ができ、膿がでる病気です。「肛門周囲膿瘍」という病気から進行することが多く、激しい痛みや発熱をともないます。手術が必須となるため、何度も問診と検査を繰り返し、確証が得られるまでチェックを行います。

肛門括約筋温存手術

痔瘻は放置すると肛門がんになることがあるため、必ず手術となります。皮膚にある膿の出口から外肛門括約筋までの部分で痔瘻の管を取り除き、原発口から原発巣までの膿の管をくりぬいて切開します。つまり、痔瘻の管の入口と出口を取り除く術法です。この方法であれば、皮膚と肛門括約筋を傷つけずに済み、後遺症の心配もありません。ほとんどの場合、10日前後の入院で行えます。