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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#003「なぜ痔になってしまうのか」

痔の原因は、さまざまな理由で起きた肛門の炎症

なぜこんなにも多くの人が痔を患ってしまうのでしょうか。痔の原因は、ズバリ肛門の中の炎症です。では、その炎症はどうして起こるのか。肛門は、毎日「お通じ」が通過し、そのせいで汚れてしまいます。人体の各部の”粘膜”について、それぞれの「厚さ」を調べたことがありまして、肛門内の粘膜はきっと他の粘膜よりも厚みがあると想像していましたが、実は喉や目の粘膜と同じ厚さだったのです。これを知った瞬間、炎症を起こすのは当たり前ではないかと実感しました。目に異物が入ると結膜炎になるように、肛門も疲れやストレスで免疫力が下がると、炎症を起こすのはごく自然なことなのです。

防御因子の低下と、攻撃因子の増大

(『新版 痔の最新治療』平田雅彦著 図説ページ参照)防御因子が、肉体疲労・ストレス・冷え・長時間の座り仕事などにより低下し、攻撃因子が便秘下痢など排便の異常・飲酒・生理などによって増大することで、痔は発症しやすくなります。

特に、長時間の座り仕事では、血流が悪くなり、心筋梗塞と同じ原理で痛みや炎症が起きてきます。これは、1時間に1回は席を立ち、10メートル歩くだけでもかなり改善されます。

女性の生理に潜む、痔の要因

また、女性特有の生理期間の黄体ホルモン増加で肛門内に炎症を起こしやすくなるのが第一、そして生理前の便秘、生理中の下痢など、先述の「便の異常」によるものが第二となります。ホルモンバランスの異常により肛門粘膜が弱っているところへ、硬い便や下痢が通過するとなれば、たちまち痔の発生率は上がってしまうということです。

“生理中は、1時間早く寝て1割仕事を減らせ”と言われていますが、なかなか実行できるものではありませんので、生理前にはプルーンを食べて便を柔らかくするなどの予防行動を心がけ、準備をしていればある程度は痔の発症を防ぐことが可能になります。

当院の患者さんの、実に7割以上が女性です。痔を発症する可能性は、もちろん男女同等ですが、女性の場合は前述の生理に加え、妊娠出産もあり、これをきっかけとして症状が悪化してしまう場合があるのです。

痔の原因を探り、対策を打つために

当院は口コミで次々に患者さんが来てくださいますが、完全予約制かつ名前で呼ばない、他の患者さんに話が聞こえないようにする等、プライバシーには最大限の配慮を行っています。また、必ず担当医と看護師と患者さんの3人の状態で診察を行いますので、安心して受診いただけるように工夫しています。

そして、痔を発症した原因を探るために、初診の際は30分かけてお話を伺います。なぜ痔になってしまったのか、免疫が下がる生活習慣がないかなど、詳しくお聞きして、対策を一緒に考えます。そのためにも、リラックスし、安心してお話いただける環境を作るようにしています。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。