おしりの医学

HOME | 痔の治療に関するコラム | おしりの医学 | おしりの医学#007「痔に良い食べ物・悪い食べ物」

Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#007「痔に良い食べ物・悪い食べ物」

便秘や下痢になりにくいものを摂取

「なぜ痔になるのか」という疑問には、「便秘や下痢などの排便異常で肛門の粘膜を痛めつけてしまうから」という答えになります。つまり、便秘や下痢になってしまうような食べ物や食べ方が痔を発症または悪化させ、便秘や下痢になりにくい食べ物であれば痔の予防や改善につながる、ということです。

食物繊維、分食、食べる時間帯を意識

まず便秘にならないためには、食物繊維を多く採る、ということです。食物繊維には“おから”や納豆などの水に溶けない不溶性と、溶けるものはコンニャクやワカメなどの水溶性に分かれていて、この二種類を半々で摂取するのがよい、とされていますね。便が柔らかくなり便秘になりにくいということです。つまり、和食が良いということになります。
そして下痢の場合は、お粥、白身の魚、湯豆腐などを食べなさいと昔から言われてきました。アメリカでは“下痢のABCD”という言葉があります。DはDiarrhea(下痢)で、ABCは「Apple / Banana / Carrot」の頭文字です。リンゴ、バナナ、ニンジンには整腸作用があるということですね。
下痢が止まらない場合、「胃結腸反射」の可能性もあります。これは、通常胃に食物が入り胃が膨らむと腸が動き出しますが、大量かつ急に胃に食べ物が入ることで腸が活発に動きすぎることで下痢になってしまう、という症状です。これを避けるためには、分食といって3回の食事を5回や6回に分けて食べる、という方法が有効です。少しずつ食べることでこの反射を抑える効果があります。早食いにも問題がありますが、これを矯正するのは困難ですから、やはり分食をお勧めします。
さらに、食べる時間帯というのも重要です。あまり夜遅くに食べると、就寝中の胃腸に大きな負担をかけてしまいます。
辛い物などの刺激物もよくない、という話もよく聞きますが、たとえば「わさび」は100%吸収されるので、便には含まれません。が、唐辛子類は日本人の腸では3%しか吸収されないといわれていますから、ほぼすべて便として出ていくことになります。同じ辛い物でも、日本人の胃腸にとっては大きな違いがありますから、意識して摂取するようにしてください。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。