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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#011「なぜ女性は痔になりやすいのか」

女性が痔になりやすい原因は生理・妊娠・出産、そして便秘

男性と比べて女性の方が痔になりやすいと言われます。実際に、当院の患者さんの約7割は女性です。なぜ、女性は痔になりやすいのでしょうか。
排便による痔のリスクは男女ともにあります。しかし、女性はそれに加えて生理・妊娠・出産により肛門が炎症を起こし痔になる場合が多くあるのです。また、女性には便秘が多いというのも大きな原因です。

なぜ女性は便秘になりやすいのか

では、なぜ女性は便秘になりやすいのでしょうか。
その原因としては色々な説がありますが、まずストレスが挙げられます。ある論文によると、ストレスがかかると男性は下痢になりやすいのに対し、女性は便秘になりやすいそうです。自律神経の乱れによる体の不調が逆の方向に出る傾向にあるんですね。
また、生理前は性ホルモンの働きにより便秘になりやすくなります。
さらに、ダイエットによる食生活の乱れも便秘を招きます。カロリーは減らしても食事量は減らさない方がいいのですが、極端に食事量を減らしてしまう人が多く、これにより便秘になってしまうのです。

男性・女性の痔の特徴の違い

男性と女性では、なりやすい痔の種類も異なります。
男性も女性も症例数が1番多いのは痔核(いぼ痔)ですが、男性は痔瘻が2番目に多いのに対し、女性は裂肛(切れ痔)が2番目に多くなっています。これは、女性は便秘が多いため、裂肛になりやすいからです。女性の便秘の人が多い年齢層と裂肛の人が多い年齢層はちょうど一致していて、どちらも20代後半及び40代です。
なお、もともと女性の痔ろうは少なかったのが、数年前学会のシンポジウムにおいて、昨今女性の痔ろうが増えてきているという発表がなされています。痔ろうの主な原因は深酒などによる下痢で、男性がなりやすかったのが、最近は男性と同じように夜遅くまでお酒をたくさん飲み、長時間働く女性も増えており、その結果下痢になる女性が増えているのだと考えられます。

女性の痔核、裂肛、痔瘻の割合
出典:新版 痔の最新治療(よくわかる最新医学)

女性の痔の主な原因である便秘の改善策とは

痔を防ぐためには、お通じを良くする生活を送ることが大切です。
まずは食事。「1日3食」が原則です。また、不溶性食物繊維(水に解けない食物繊維。納豆など)と水溶性食物繊維(水に溶ける食物繊維。こんにゃくや寒天など)をバランスよく50%ずつ食べましょう。
次に、運動。ウォーキングをしたり、エレベーターを利用せず階段を登るなど、まずは普段の生活でできる範囲で始めてみましょう。
また、女性は生理によるホルモンバランスの乱れも便秘に大きく影響しています。生理前はプルーンを毎日5,6粒食べる、生理中はおかゆなど消化の良いものを食べると便秘予防に効果的です。また、生理中は極力仕事を減らし、普段より多く睡眠をとることも推奨されています。

もし痔になってしまったらすぐ病院へ

特に女性は痔になっても病院に行きづらいと思いますが、症状が出たら一刻も早く受診することが大切です。最近ではプライバシーに配慮した病院も多いです。例えば、当院は完全予約制で、他の患者さんとほとんど顔を合わせることはありませんし、待合室でお名前を呼ぶこともありません。診察室は防音仕様となっており、必ず医師の診察には看護師も立ち会います。ご家族やご友人に勧められて来院される方も多いですよ。
ぜひ安心して受診できる病院を探してみてください。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。