おしりの医学

HOME | 痔の治療に関するコラム | おしりの医学 | おしりの医学#026「アナルセックス(肛門性交)の危険性」

Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#026「アナルセックス(肛門性交)の危険性」

肛門にできる癌の種類

本日は肛門癌についてお話をします。
肛門はとても複雑な構造であり、直腸に近い歯状線より奥は直腸と同じ粘膜で、歯状線より浅い部分は皮膚と同じ「上皮」です。ですので、直腸に近い部分は直腸癌と同じ腺癌が発生し、皮膚に近いところには「扁平上皮癌」ができます。このように、肛門癌には、「腺癌」と「扁平上皮癌」がありますが、痔ろうを放置することで発生する「痔ろう癌」もあります。
腺癌は、直腸癌と同様の治療法となります。痔ろう癌は、痔ろうの後にできてきますので、粘液が多量に出て、肛門の周囲が硬くなり、周囲を押すと粘液が出てくることで判別できます。

アメリカで扁平上皮癌が増加している理由

問題は扁平上皮癌で、アメリカではこの10年で増えてきているという傾向があります。この扁平上皮癌の原因は、「ヒトパピローマウィルス」ではないかという報告が出ました。このヒトパピローマウィルスは、女性の子宮頸癌の原因だといわれています。このウィルスが、男性から女性の子宮頚部へうつり、癌化するわけです。
ではなぜアメリカで、肛門の扁平上皮癌が増えているのか。どうも、肛門性交、いわゆるアナルセックスによるものではないかという意見があります。肛門性交により、男性から肛門の上皮部分にヒトパピローマウィルスが感染し、癌になるということです。そういう意味でも、肛門性交には危険が伴うということを認識していただきたいです。

肛門は精密機械、無理な使い方は厳禁

肛門というのは、非常に精密で繊細な機械です。皆さんは排便の際に、「あ、柔らかいな」「水っぽいな」「ガスだったな」ということが分かりますよね。つまり、肛門の感覚器官は、個体液体期待を完全に判別できるような、非常にファインな精密機械であるといえます。このような精密な場所を、肛門性交のような無理な使い方をしてしまいますと、組織が破壊されてしまいますので、私は絶対にやめておいたほうがよいと考えています。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。