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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#027「切らずに内痔核を治す方法〜痔の手術と保険制度」

欧米では内痔核の手術率は10%以下

いぼ痔、つまり内痔核を手術せずに治す方法についてお話します。
内痔核は生活習慣病ですから、過去の生活の乱れが原因となっています。逆に言えば、生活を正しく戻せば、ある程度は症状も元に戻るはずです。実際に、アメリカでもヨーロッパでも、内痔核の手術はほとんど行われていません。これらの国々では、生活指導による治療が中心です。どのようなものを食べたらよいか、どのくらい睡眠をとればよいか、どんな運動をすればよいかなど、必要であれば1時間以上かけて生活指導をしてくれます。このようにして生活指導と投薬を3か月続けることで、アメリカでは手術率4%、ドイツでは6%、イギリスでは9%と言われており、全体でも10%に届きません。

日本の保険制度下ではどうしても手術が増える

日本では統計はありませんが、一説によると内痔核の手術率は40%といわれています。なぜ同じ人間なのに、アメリカの10倍もの人が手術をしないと治らないのでしょうか。これは、日本の保険制度に関係しているかもしれません。生活指導を行うためには、当院でも初診であれば30分は必要になります。日本での痔に対する生活指導料はタダです。つまり保険点数がゼロなので、医師がどれだけ指導してもお金をもらうことができません。そのせいで、しっかりと30分かけて生活指導を行う病院がなかなか存在しないわけです。自費診療にして、生活指導を行っている病院もあります。欧米と同じように生活指導中心の治療が、日本の保険制度では認められないということが、大きな問題なのかもしれません。

生活指導を行ってくれる病院へ

内痔核を手術せずに治したいという患者さんは、きちんと生活指導をしてくれる病院を選ぶべきだと思います。ゆっくりと話を聞き、3カ月間どのような生活を送ればよいのかをしっかり相談しながら治療することがベストだと考えています。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。