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おしりの医学#041「 肛門検査をしよう」

お尻に異常を感じたら、なるべく早く専門医の診察を受けるのが重要です。しかし、肛門の診察となると恥ずかしさや痛みがあるのではないかと不安になる人も少なくありません。当院を含めた専門医では、患者さんの不安を解消するため様々な対策をしています。今回は肛門検査の流れや、専門医が行っている恥ずかしさや痛みへの対策を紹介します。

肛門の診察は恥ずかしい?

肛門科の診察では当然、肛門を見せることになるため、恥ずかしさを感じる人も少なくないでしょう。結果的に受診が遅くなり、お尻の病気が悪化してしまうこともあるため、専門医院では患者さん同士が極力顔を合わせないよう対策していることが多いです(当院では完全予約制をとっています)。
下着も完全に下ろすことはなく、極力肛門だけが露出するような形で診察を行うなど、可能な限り恥ずかしさを感じないような対策をしている医院が多いです。お尻の病気は放置すると最悪の場合がんなどに発展する可能性もあるので、お尻に何か異常を感じたら、ぜひ恥ずかしがらず専門医を受診してみてください。

肛門検査の流れ

肛門の診察をする際には、まず患者さんに横になってもらいます。基本的には診察台に横向きに寝てもらい、足を曲げてお尻が見えやすい姿勢を作ります。次にズボンと下着を肛門が出る程度まで下ろしてもらいます。すべて下ろす必要はありません。
準備ができたら、まずは視診から始めます。外痔核や肛門周囲膿瘍、痔瘻などに関しては視診である程度判断が可能です。痔瘻の種類や原因については『おしりの医学#038「血便が出たらどうする⁉」』や『おしりの医学#008「痔ろう(痔瘻・あな痔)の原因と適切な治療」』をご覧ください。
次に触診で内痔核や直腸粘膜脱などがないか診察します。最後に肛門鏡を肛門から入れ、内部の状況を視覚的に診察します。内痔核や直腸粘膜脱については『おしりの医学#021「内痔核は手術が必要?」』や『おしりの医学#032「直腸粘膜脱について」』をご覧ください。

肛門検査の痛みと対処法

肛門の診察には痛みを伴うことがあります。特に触診や肛門鏡での診察は肛門から指や肛門鏡を入れることにため、痛みを感じる人が多いようです。診察中の肛門の痛みの原因は強く締まっている肛門を無理やり開くことになるためです。よって、力を抜いて、肛門が緩んでいれば痛みを感じることなく診察を受けられます。
肛門の診察で力を抜くコツは、口でゆっくりと深呼吸をすることです。深く息を吐いている時は自然と力が抜けるため、指や肛門鏡がスムーズに入っていきやすくなります。医師側も患者さんの呼吸を見つつ、息を吐いているタイミングを見計らってゆっくりと指や肛門鏡を入れていくため、痛みを感じることは少ないでしょう。
また、肛門鏡の診察で痛みを感じる人に対しては、幼児用の小さな肛門鏡を使うことがあります。肛門の診察における痛みが不安という人は、事前に医師と相談し、肛門鏡のサイズなどを柔軟に変えてくれるような専門医院を選ぶと良いでしょう。

お尻に異常を感じたらなるべく早く医師の診察を受けよう

お尻の病気は恥ずかしさや痛みに対する不安から、受診が遅れてしまいがちです。しかし、放置してしまうと悪化し、治療方法が身体に負担のかかるものになってしまいます。お尻の専門医は患者さんが恥ずかしさや痛みを極力感じないよう、様々な対策をしています。お尻に異常を感じたら、症状が悪化する前に専門医の診察を受けると良いでしょう。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。