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おしりの医学#043「 痔瘻の手術後の過ごし方」

痔瘻の治療を考えている人の中には、手術後にどの程度安静にしていなければならないのか、いつから仕事に復帰できるのか、心配な方も多いでしょう。実は痔瘻の手術は肛門括約筋を保護できる方法であれば、退院後すぐに日常生活に戻ることが可能です。今回は痔瘻の手術後の過ごし方や、注意すべき点について紹介します。

痔瘻の手術後は安静にすべきか?

痔瘻の手術後に安静期間が必要かどうかは、手術の方法によって異なります。基本的に、肛門括約筋が傷つかないような術法であれば退院後からすぐに日常生活に戻れることが多いです。ただし、肛門括約筋を保護する手術を行う際にはどうしても10日から2週間程度の入院期間が必要なので注意しましょう。
対して、肛門を切開し、患部を切除するような手術を行った場合は、仕事に復帰するまで時間がかかります。肛門を切開するような術法は身体への負担も大きく、肛門の機能が悪くなってしまう可能性があるため、痔瘻の手術をする際にはできるだけ肛門括約筋を保護できる手術方法を選ぶのがおすすめです。
もし医師から切開による手術しかできないと言われた場合は、他の医師にセカンドオピニオンを求めてみるのも良いでしょう。

術後に重労働をする可能性がある場合は注意が必要

基本的には肛門括約筋を保護できれば術後すぐに日常生活に戻ることが可能ですが、以下のような行動は控える必要があります。

  • 力仕事や激しい運動が必要な仕事
  • 長時間車や自転車に乗る予定がある
  • 術後すぐの旅行や出張

上記のように全身に力が入ったり、肛門に負担がかかるような行動はしばらくは控えた方が良いでしょう。また、術後すぐに旅行や出張に行くこともおすすめできません。肛門は便の通り道ということもあり、どうしても手術後に傷口が開く可能性があります。よって、傷口がふさがり、医師からの許可が出るまではすぐに医師の治療が受けられる範囲で行動するのがおすすめです。

痔瘻の手術後はあくまで無理せず行動しよう

痔瘻の手術は、肛門括約筋を温存する方法であれば身体への負担が少ないため、退院後すぐに日常生活を送れるようになります。ただし、入院期間は10日から2週間程度必要なので、すぐに手術して退院というわけにはいきません。
また、力仕事や乗り物に長時間乗るなど、肛門に負担がかかるような行動は傷口が開いてしまう可能性があるため、控える必要があります。緊急時に医師の治療が受けられない遠方への旅行や出張も止めておいた方が良いでしょう。
痔瘻の手術は怖いものではありません。近年では手術方法の発展により、より身体への負担が少なく、入院期間が少ないものに変わってきています。痔瘻が悪化する前に、まずは医師に相談を受けてみましょう。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。