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おしりの医学#063「シャワートイレ(温水洗浄便座)は使った方が良いの?」

近年では多くの家や施設のトイレでも見かけることの多いシャワートイレですが、実際に使用することでおしりにメリットがあるのか、疑問に思った人も少なくないでしょう。今回はシャワートイレの使用の是非についてお話ししていきます。

シャワートイレを使う時は水圧に注意

シャワートイレとはウォシュレットとも呼ばれる温水洗浄便座のことです。温水でおしりをきれいにできる機能は使ったことのある方も多いでしょう。基本的にはシャワートイレがあるのであれば使用するのがおすすめです。
単に紙で拭くよりもおしりを清潔に保てる上、拭く際の摩擦によるおしりへの負担も減らせます。ただし、シャワートイレを使用する際には水圧の強さに注意が必要です。ウォータージェットカッターに代表されるように、水は水圧によっては鉄や岩をも切断する力を持ちます。
水圧の脅威はシャワートイレにおいても例外ではありません。水圧が強すぎると粘膜を刺激してしまい、痔をはじめとした病気に繋がる可能性があります。よって、シャワートイレを使う時は、基本的に水圧を最低にしておくのがおすすめです。
近年のシャワートイレは弱い水圧でも充分おしりを洗浄できるようなものになっているので、必要以上に強くする必要はなくなっています。

シャワートイレで肛門を刺激するのはNG

シャワートイレは肛門周りを清潔にするために使われますが、たまに排便前に使用し、排便を促進させようとする人がいます。確かに肛門に刺激を与えることで排便を促すことができますが、排便促進の用途でシャワートイレを使用するのはおすすめしません。
シャワートイレで排便を促進することが常習化すると、今度はシャワートイレがないトイレで便が出にくくなってしまいます。例えば海外のトイレにはシャワートイレがついていないことが多いので、旅行による身体のストレスも合わさって便が出なくなってしまうのです。
シャワートイレを使用する場合は、肛門の刺激には使わず、あくまで排便後に肛門を洗浄する用途で利用しましょう。

外出先でのシャワートイレについて

「外出先のシャワートイレは不衛生だから使いたくない!」という方も良くいらっしゃいます。実は昔のシャワートイレは、放出する水をあらかじめ貯めておく方式でした。よってトイレの使用頻度が低いと水が古くなり、雑菌が増える恐れがあります。
外出先のシャワートイレに忌避感を持っている方は上記の知識を持っているのでしょう。しかし、現在のシャワートイレは溜め込み式ではなく、水道に直結しています。そのため、昔のように雑菌が増えるリスクは少ないです。
ノズルが汚いという人もいますが、現在のトイレは自動でノズル洗浄を行う機能もついています。結果、そもそも自宅のトイレのノズルの方が汚れているということも多いです。先に述べた通り、シャワートイレの使用はメリットが多いので、基本的には積極的に使用していくことをおすすめします。
どうしても外出先でシャワートイレを使いたくないのであれば、携帯用のシャワートイレを使うのも良いでしょう。私自身携帯用シャワートイレを使用することは多く、特に海外出張や旅行などでは重宝しています。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。