Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#081「おしりのかゆみ対策」
肛門は日常生活で触ることがはばかられることもあり、かゆみがあるとストレスになることが多いです。肛門のかゆみを抑えるためには、かゆみの原因を知ることが重要になります。今回はお尻のかゆみの原因と対策について解説します。
お尻を石鹸で洗うのはNG
お尻にかゆみを感じるという患者様にまずヒアリングしているのが、お尻を石鹸で洗っていないかということです。肛門付近の皮膚(肛門上皮)は薄く繊細で、弱酸性に保たれています。石鹸は弱アルカリ性なので、石鹸で肛門を洗ってしまうとpHが崩れてしまい、皮膚のバリア機構が壊れてしまう恐れがあります。
基本的には肛門には石鹸を使わず、シャワーで洗い流すだけにするのがおすすめです。どうしても石鹸を使いたい場合は、弱酸性のものを使用するようにしましょう。
また、肛門を洗いすぎもかゆみの原因の1つです。肛門は便が通ることもあり、不潔に感じて何度もシャワーで洗ってしまう方も多いでしょう。しかし、肛門を洗いすぎると皮膚のバリア機構が壊れ、肛門が乾燥してかゆみを誘発してしまうので注意が必要です。
内痔核が肛門のかゆみの原因になることもある
肛門を洗いすぎるとかゆみの原因になりますが、肛門を洗わないこともかゆみの原因となります。肛門のヒダの部分に便や分泌物が貯まると細菌が繁殖し強いかゆみを感じることが多いです。
特に内痔核があると肛門の凹凸部分が多くなり、細菌が繁殖しやすくなる他、内痔核自体からも分泌物が出るので、より隙間に分泌物が貯まりやすくなり、かゆみを感じやすくなってしまいます。内痔核がかゆみ原因となっている場合は、内痔核を治療することでかゆみを抑えることが可能です。
お尻にかゆみがある時は原因を知ることが重要
肛門のかゆみは切実な問題になることもあります。対処療法的にかゆみを抑えるのであれば、ステロイドを使用するのが最も有効ですが、一時的な対策にしかならない上、皮膚が薄くなるという副作用があるので、可能な限り避けるべきでしょう。
肛門のかゆみを治療するためには、かゆみの原因を知ることが重要になります。まずは近くの専門医を受診し、かゆみの原因を明らかにしましょう。かゆみの原因が分かれば、原因に合わせた対策を行うことで、かゆみの治療が可能です。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。