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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#096「おしりに痒みがあり、市販の薬を使っています。市販薬の選び方を教えてください」

今回もライブ配信第2回にいただいた質問についてお話しします。「お尻にかゆみを感じることがあり、市販の軟膏を服用しています。薬の選び方などあれば教えてください」という質問をいただきました。そこで今回は、市販薬の選び方について解説します。

痔の診察を受ける最大の理由は症状の特定

痔の市販薬を選ぶ際に重要になるのはステロイドの有無です。ステロイドとは副腎皮質ホルモンの1つで、炎症の沈静化や、免疫の抑制効果があります。アトピー性皮膚炎をはじめとして、様々な免疫疾患や炎症に対処できる成分として利用されていますが、長期にわたって利用すると皮膚が薄くなるなどの副作用があるのがデメリットです。
ステロイドについては、炎症に対して強い効果を持っていることは事実なので、短期間の使用であれば使用しても問題ないと考えています。ただし、長期間にわたって使用するのは、前述の副作用が現れる可能性があるのでおすすめしません。
また、注入軟膏タイプの市販薬を使用する場合は注入部の突起の長さにも注意しましょう。注入部の突起が長いものは患部が奥にあっても薬が届きやすいですが、正しく入れられないと肛門や直腸を傷つけてしまう可能性があります。
よって、基本的には突起が短いものを選んだほうが安全です。患部が奥にあって軟膏が届かない場合は、注入難航タイプではなく座薬タイプの市販薬を選ぶことをおすすめします。

痔の放置は再発の悪循環につながる

痔の市販薬を使用すれば一時的に症状を抑えることができますが、原因を解消できるわけではないので、症状が再発する可能性があります。特に肛門や直腸にかゆみがある場合、原因は痔だけではないことも多いです。
注目したいのは外的要因です。痔の症状がなくても、普段の日常生活における要因が原因でかゆみが現れている可能性があります。例えばウォシュレットでお尻を洗いすぎると、肛門付近の皮膚が乾燥してかゆみの原因になります。また、肛門を石鹸で洗いすぎると皮膚が刺激されてかゆみが出るので注意が必要です。
他にも普段から通気性の悪いパンツを着用していると、肛門付近の皮膚が蒸れ、かゆみを引き起こすことがあります。以上のような原因に心当たりがあるのであれば、解消することでかゆみや痛みを抑えられる可能性が高いです。市販薬を使用する前に、外的要因でかゆみが出ていないか、今一度チェックしてみましょう。
もちろん、かゆみや痛みの原因が痔の場合もあります。痔が原因の場合、基本的には生活習慣の改善と処方箋の服用によって治療が可能なので、肛門にかゆみや痛みを感じたら、一度医師の診察を受けることも検討してみてください。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。