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おしりの医学#104「非ステロイド市販薬は長期連用して良いの?」

今回もライブ配信第3回にいただいた質問についてお話しします。「脱肛3度でボラザG軟膏を長期連用しているのですが、問題はないですか?」という質問をいただきました。そこで今回は、非ステロイド薬の長期連用による身体への影響について解説します。

非ステロイド薬の長期使用は基本的に問題ない

当院の見解では、非ステロイド薬の長期連用はそこまで問題ではないとしています。ステロイド薬の場合は、長期連用すると皮膚が薄くなるなどの副作用があるため、そもそも当院ではおすすめしていません。
対して、非ステロイド薬は湿疹などが出ることはありますが、確率としては非常に少なく、ステロイド薬ほど副作用が出ることもないので、症状があるうちは連用しても問題ないでしょう。

妊婦の場合は使用に注意が必要

基本的には長期連用が問題ないといえる非ステロイド薬ですが、妊娠時に使用する場合は注意が必要です。ボラザGやヘルミチン座剤などの非ステロイド剤には、歯科治療の局所麻酔として一般的なリドカインという物質が含まれています。
リドカインは歯科治療に使用する程度であれば問題ありませんが、大量摂取すると流産する可能性があるとされているため、自身で使用量を調整できる市販薬は使用を控えたほうが無難です。
また、ボラザGに含まれるトリベネシドは、妊娠2~3ヶ月に摂取すると、胎児の水頭症リスクが高まると報告されています。以上のように妊娠時は非ステロイド薬であってもリスクが高いため、使用は控えたほうが良いでしょう。
妊娠時のステロイド薬や非ステロイド薬の危険性については、『おしりの医学#067「妊娠中の坐薬について」』で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

症状が出ている時に使用するのが重要

基本的には長期の連用でも問題が発生することはほとんどない非ステロイド薬ですが、妊娠時のリスクから見ても分かるように、あまりに長期間使用していると、人体に想定外の影響がある可能性があります。
薬の連用はあくまで症状がある時に限り、症状が全くない時は必要以上に使わないように心がけましょう。また、痔の治療には薬の使用だけでなく、生活習慣の改善も重要になります。当院では症状に合わせて、生活指導と薬による治療を行っています。痔の症状を感じた際には、ぜひ当院をご利用ください。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。