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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#107「痔核の手術後、肛門が狭窄しています。自分で治せますか?」

今回もライブ配信第3回にいただいた質問についてお話しします。「痔核の切除手術をして肛門が狭くなってしまったのですが、自力で改善する方法はありますか?」という質問をいただきました。そこで今回は、肛門狭窄を自力で改善する方法と、注意点について解説します。

肛門狭窄の自力での治療方法

自力での肛門狭窄の治療方法としては、肛門ブジーによる治療を応用したものがあります。肛門ブジーとは弾丸を引き延ばしたような形をしている医療器具です。肛門狭窄の症状が軽く、手術の必要がない場合は、肛門ブジーを挿入し、一定時間留置することで、肛門括約筋をほぐして徐々に肛門を拡張していきます。
肛門ブジーによる治療を応用することで、自分でも肛門狭窄の改善が可能になります。筋肉が弛緩する入浴中に指を使って徐々に肛門を広げていくことで、肛門ブジーと同じように徐々に肛門を拡張できます。
ただし、肛門を徐々に拡張する方法はあくまで筋肉をほぐしているだけなので、元に戻りやすいという欠点があります。根治を目指すのであれば、生活習慣を改善して肛門への負担を減らしつつ、根気強く治療をしていくことが重要です。
また、指を使って肛門を広げる場合、爪を短くしておく必要があります。爪が長い状態で肛門を広げてしまうと、肛門に傷ができて症状が悪化する可能性があるため、事前にしっかりと爪を切っておきましょう。

傷の瘢痕化が原因の場合は注意

肛門の拡張は肛門狭窄の治療として有効ですが、傷の瘢痕化によって肛門狭窄が発症している場合は注意が必要です。瘢痕化とは傷が何度もできることで傷の周りの皮膚が硬くなり、傷口が繊維質になってしまう症状です。瘢痕化した傷は柔軟性を失うため、指で肛門を拡張すると再度傷口が開いてしまう可能性があります。
瘢痕化した傷が浅い場合は短期で治療できますが、切除手術で術部が瘢痕化した場合は傷口が深くなることも多いため、長期にわたる生活習慣の改善や薬による治療が必要になることが多いです。
そもそも痔の治療は手術をしなくても治療できることが多いので、重篤でない限りは手術による治療を行わず、肛門狭窄が発症するリスクを抑えることをおすすめします。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。