Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
平田院長・新刊連動企画『マンガでわかる痔の治し方』LESSON3(前編)~痔を治す食事方法(1)~
2022年3月16日、当院院長である平田雅彦監修の書籍「マンガでわかる痔の治し方」が小学館集英社プロダクションより発売となりました。本書では手術や入院をせず、 「自分で痔を治す方法」がマンガでわかりやすくまとめられています。 今回は新刊連動企画と題し、本書の登場人物でもあり執筆者でもある漫画家・建築家のヒズメさんと、同じく登場人物である本書担当編集者のKさんをお招きし、本書の内容を基にした対談を5回に分けてお届けします。
第3回は前後編に分け、痔に良い食事方法や栄養素などを紹介していきます。ぜひ動画と合わせてご覧ください。
最初に習慣にすべきこと
保存療法で痔を治療する際には、生活習慣の改善が必要になります。生活習慣の改善をしていく上で、まず最初に習慣にすべきことは以下の2つです。
- 起き抜けにコップ1杯の水を飲むこと
- 軽いストレッチをすること
上記の習慣は自律神経の正常化に繋がる行動になります。基本的に、朝の排便時にスムーズに便が出れば、肛門が炎症を起こすことはほとんどありません。
実は、便意を催す際には自律神経が2種類の神経反射をしています。1つ目は「起立反射」というもので、寝ている状態から身体を起こすことによって起こる神経反射です。2つ目は「胃・結腸反射」というもので、食事をして胃に食べ物や飲み物が入ることで起こる反射となります。
朝に水を摂取すると、胃が水で膨らむのに反応して自律神経が刺激され、「胃・結腸反射」が起こります。また、軽いストレッチをすると身体が覚醒状態になり、同じく自律神経が刺激されて「起立反射」が起こり、便が出やすくなります。
生活習慣の改善によって痔を治したいのであれば、まずは上記の2つを習慣化しましょう。
痔の改善には食事の回数と食物繊維が重要
痔の改善に繋がる食事のポイントは、大きく分けて以下の3つです。
- 朝・昼・晩の3回食事をする
- 食物繊維を多く摂取する
まずは1日3食しっかりと食事を摂ることです。先に述べた通り、食事をして胃に食べ物や飲み物が入ると、「胃・結腸反射」が起こり便が出やすくなります。毎日同じ周期で便を出すためにも、可能な限り3食摂ることが重要です。 また、食物繊維を摂ることも痔の改善において重要になります。厚生労働省の発表によれば、成人男性は1日に20g程度の食物繊維を摂らなければいけません。食物繊維はボウル一杯のサラダでも3g摂取できず、意識して摂らないと20g摂取することが難しいです。
さらに、1日2食にしてしまうと1食で摂取しなければならない食物繊維の量が増えてしまいます。食物繊維をしっかりと摂取する上でも1日3食の食事を摂ることは徹底しましょう。
食物繊維の重要性
食物繊維はスムーズで量の多い便を出すうえで重要な栄養素です。毎日排便しないと老廃物が体内に再吸収され、がんをはじめとした身体の不調に繋がる可能性があります。よって、食物繊維を摂って排便を促さなければいけません。 食物繊維には不溶性と水溶性が存在します。不溶性の食物繊維は便のかさを増やすため、しっかりと摂取することで腸に貯まった老廃物を残さず便として排出することが可能です。
対して、水溶性の食物繊維は水分を含むため、便を柔らかくする効果があります。よって、肛門に負担をかけずに排便することが可能です。2種類の食物繊維は双方ともに重要なので、食事の際にはバランスよく摂取することが重要になります
食物繊維を効率よく摂取するコツ
食物繊維を多く摂取するコツは、とにかく具沢山にすることです。ミネストローネやカレー、豚汁など、野菜が多く冷凍保存ができるものを作り置きしておけば、日々の負担も減るでしょう。 麦ごはんや雑穀米、全粒粉のパンなど、主食を食物繊維が多いものに変えるのも有効な手段です。
現代では、食事を入力するだけで食物繊維を計算してくれるアプリなども存在します。文明の利器も有効活用し、食物繊維の豊富な食生活を心がけましょう。
参考書籍『マンガでわかる 痔の治し方』
痔は「生活習慣病」です。生活改善すれば、自分で治せます! トイレのたびに出血する! 痛い! かゆみや便秘が慢性化している…。 そんなおしりトラブルを抱えていながら、 「医者に行くのが恥ずかしい」 「手術されるのはこわい」 と、見て見ぬふりをしていませんか。 そこで本書では、手術しない、入院しないで、 「自分で痔を治す方法」をマンガでわかりやすくまとめました。 痔の手術経験があり、いまも再発におびえる漫画家のヒヅメさんが、 約40万人の患者を診てきた日本を代表する肛門科専門医、平田雅彦先生に相談。 効果的な食事メニューから、便秘を治す朝習慣、トイレの正しい使い方や世界一ラクな運動まで! 自宅でできる治し方、忙しくても続けられるおしりケアについて、紹介します!
平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。