おしりの医学

HOME | 痔の治療に関するコラム | おしりの医学 | おしりの医学#031「おしりのかゆみの原因と対処法」

Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#031「おしりのかゆみの原因と対処法」

かゆみの原因は下着、石鹸、内痔核からの分泌液

今回は、肛門のかゆみ、その原因と対処法についてです。
肛門がかゆいという症状で来院される患者さんを診察すると、肛門の周囲の皮膚がただれているケースがとても多くみられます。なぜただれるのかというと、ひとつには下着が擦れることによるもので、Tバックなども原因になります。
他には石鹸が肌にあわず、刺激の強さが原因の場合もあり、高級石鹸を使うことで逆にかぶれてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、一番多いのは、内痔核のような炎症がすでにあって、肛門の内側がただれているけども、痛みがないまま放置されていて、その内痔核から分泌物が出て周囲の皮膚がただれ、かゆみを起こしているというケースです。この場合は原因になっている内痔核そのものを治療しないかぎり、かゆみは消えないことになります。

大きな病気の可能性も?

もっと怖いのは、治療をしてもかゆみが取れないのでよく検査をしたら、直腸癌だった、という例です。この場合は特殊な直腸癌で、奥にある患部から分泌物が出て、皮膚がただれることでかゆみが出ていた、という状態でした。

なぜかゆいのかを肛門科で診断を

では「肛門かゆみ」が続いた場合はどのようにしたらよいか。まずはかゆみの原因を探るために肛門科で診てもらい、肛門内部に炎症があるか否かを調べてもらうことです。炎症があれば根本的に治療をしましょう、となります。他にできることは、下着もブリーフよりは通気性のよいトランクスタイプに変えてみたり、石鹸も赤ちゃん用の低刺激のものにしてみることもよいでしょう。

“掻く”ことは厳禁!

対処として不適切なのは、かゆいところを掻いてしまうことです。掻くということは、かゆみよりも強い痛みを与えてかゆみを止めることですから、掻き終わったあとはまたかゆみがぶり返します。そういう意味ではあまり良い対処法ではありません。掻くのではなく、こまめに水で洗い、清潔に保つことが一番です。何より癌などの大きな病気の可能性もありますので、まずは近くの肛門科で詳しく診断してもらうことを強くおすすめします。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。