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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#055「切れ痔は自分で治せる!?」

近年、テレワークの普及による運動不足や、生活習慣の乱れが原因で切れ痔になる人が増えています。切れ痔にを持っている人の中には病院に行く時間がなく、なんとか自分で治したいと考えている人も多いでしょう。
実は切れ痔は自力で治すことができる病気です。今回は切れ痔になる仕組みや、自分で治す際のポイントについてお話しします。

切れ痔は自分で治せる

結論から言えば、切れ痔は医師の手を介さずとも、自分で治すことができます。切れ痔は生活習慣の乱れによって生じる症状です。肛門は日ごろの不摂生や暴飲暴食、ストレスなどによって炎症を起こします。
肛門が炎症を起こすと、粘膜が弱くなってしまい、裂けやすくなってしまいます。結果、切れ痔ができてしまうのです。

切れ痔ができる仕組み

ご存じの通り、肛門は便が通るところなので、肛門の粘膜は日常的に雑菌まみれの便と接触することになります。一方で、肛門の粘膜は特別分厚いわけでもなく、目の粘膜と同程度の薄さです。
目の粘膜も結膜炎などになってしまうことから分かるように、基本的には炎症を起こして当たり前の弱い組織であるといえます。しかし、肛門の粘膜は健康的な人の場合炎症を起こしません。
肛門の粘膜が普段炎症を起こさないのには、局所免疫という身体の機構に守られているためです。肛門の粘膜ではリンパ球が常に雑菌を食べてくれています。結果、肛門の粘膜が常に雑菌にさらされる状況を避けることができ、炎症を予防できるのです。
逆に言えば、免疫機構がしっかりと作用してくれないと、肛門の粘膜は清潔な状態を保てません。結果、雑菌の繁殖を許し、炎症を起こしてしまいます。切れ痔が生活習慣の乱れによって生じるのは、生活習慣の乱れによって身体の免疫力が下がるのが原因なのです。
具体的には睡眠不足やデスクワークによる運動不足が挙げられます。共に免疫力の低下を招くので、痔を予防、改善したいのであれば対策が必要です。また、暴飲暴食や偏食によって便秘や下痢になると、肛門が直接ダメージを受けてしまうので、切れ痔の原因となります。
他にも女性の場合は生理によって免疫力が下がり、切れ痔を発症することも多いです。ストレスも免疫力が低下する原因になるので、日常生活でストレスが貯まりがちな人も切れ痔になってしまうことがあります。

切れ痔を自分で治す方法

切れ痔を自分で治したいのであれば、生活習慣の改善を第一に目指すことが重要です。実際、当院でも切れ痔で来院した患者さんには3ヶ月ほど生活指導を行い、切れ痔の改善を目指します。
睡眠不足になりがちなのであれば夜更かしを控え、早寝早起きを習慣づけましょう。特にお酒は睡眠不足を招くだけでなく、下痢の原因にもなるので、切れ痔の治療中には避けたほうが賢明といえます。また、デスクワークで運動する機会がないのであれば、日々の生活にウォーキングやスクワットといった軽い運動を取り入れていくのがおすすめです。規則正しい生活や軽い運動を続けていけば、自律神経が整い、事前と下痢や便秘も解消されていきます。
合わせて、快適な排便を助けるような食事を選ぶことも重要です。特におすすめなのは和食になります。和食では唐辛子やニンニクといった刺激物を使うことがほとんどありません。加えて、海藻やこんにゃくなど、食物繊維が多い食材が良く使われるため、便の状態を整えることができます。詳しくは『おしりの医学#007「痔に良い食べ物・悪い食べ物」』で解説しているので合わせてご覧ください。
切れ痔はストレスも原因となっているので、良く笑うことも有効な治療法です。日常生活で笑うことが多くなれば、ストレスが軽減され、結果的に切れ痔の改善につながります。余暇は自分の好きなことに時間を使ったり、人と会うなどして、ストレスの軽減を図りましょう。

切れ痔を治したいのであれば生活習慣を見直そう

切れ痔の治療には手術などは必要ありません。生活習慣を改善すれば自力で治せる病気です。まずは切れ痔ができる仕組みを把握し、生活習慣の乱れが身体に及ぼす影響を理解しましょう。
睡眠不足が原因なのであれば夜更かしやお酒を控え、規則正しい生活を心がけましょう。運動不足が原因なのであればスクワットやウォーキングといった軽い運動を意識的に行うことが重要です。
また、食生活に問題があるのであればバランスの良い食事を心がけましょう。特に和食は刺激物が少なく、食物繊維も多いのでおすすめです。ストレスが原因になっているのであれば余暇に好きなことをするなど、ストレスを軽減する行動を意識してみましょう。
切れ痔の原因が自分でも分からない場合や、医師による生活指導を受けたい場合は医師の診察を受けるのもおすすめです。診察によって症状や原因を的確に把握できれば、より早期の治療が期待できます。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。