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おしりの医学#061「残便の改善方法は?」

排便を終えても便が残っている感覚がある人も多いでしょう。実は残便感の原因は腸の運動量の低下であることが多いです。よって、腸の運動を促すような行動をすれば解消できる可能性があります。今回は残便の改善方法についてお話ししていきます。

残便の原因

残便とは文字通り、腸内にある便が一度の排便で出し切れず、肛門付近に残ってしまうことです。肛門付近に便が残ると、排便後に便がなかなか拭きとれず、何度もトイレットペーパーで肛門を拭いてしまいがちです。結果、肛門にダメージを与えてしまい、炎症になる可能性が高くなります。
残便の原因が肛門にあることは少ないです。便が残ってしまうのは多くの場合、腸の運動が低下していることが原因となっています。腸の運動は自律神経が司っています。腸の運動量低下は自律神経が正常に反射を起こしていないために起こることが多いです。
よって、残便を改善するためには、自律神経を整えることが重要になります。また、老化や運動不足によって筋肉量が低下することも腸の運動量低下の原因です。

残便の改善方法

残便を改善したいのであれば、まずは自律神経を整えることが重要になります。自律神経を整えるためには運動をすることが一番です。犬が散歩中に排便することが多いように、人間も軽い運動をすることで便意を催しやすくなる上、腸がしっかりと動くので便が残りにくくなります。
運動と言っても軽いもので問題ありません。ストレッチやウォーキングなど、日常に取り入れやすい方法を選択するのがよいでしょう。また、軽い筋トレを行うのも有効です。筋トレによって筋肉量が増えれば、腸がより動きやすくなるため、残便の改善が可能です。
運動に加えて、食事を変えるのも有効な手段になります。水溶性・不溶性に関わらず、食物繊維を積極的に摂ることで、腸の運動を促すことが可能です。食物繊維や発酵食品を効率的に摂取したいのであれば和食をおすすめします。海藻や豆、こんにゃくや寒天などには食物繊維が豊富に含まれているので、腸の運動を活発にすることが可能です。

赤ちゃんは最も残便が少ない

人間の人生において最も残便が少ない時期は赤ちゃんの頃です。むしろ赤ちゃんが残便すると亡くなるリスクがあるほどの問題になります。実は赤ちゃんの腸内に持つ細菌の91%はビフィズス菌です。ビフィズス菌によって便が理想的な状態になるため、便が残ることは基本的にありません。
しかし、人間の腸内に存在するビフィズス菌は年齢を重ねるごとに少しずつ減少することがほとんどです。とある研究所の研究によると、60歳になる頃にはビフィズス菌が1%にまで減少するといわれています。合わせて便が残りやすくなることから、残便の改善には腸内環境の改善も重要であることが分かります。
腸内環境の改善には発酵食品の摂取が有効です。先におすすめした和食は発酵食品も豊富に存在します。納豆や漬物、味噌など、古来から食べられている発酵食品を適度に摂取することで、腸内環境の改善を目指しましょう。

本当の残便と偽の残便

実は、残便感があっても本当に便が残っているとは限りません。便が残っていなくても、肛門付近に物が挟まっているような偽の残便感がある可能性があります。偽の残便感がある主な原因は以下の通りです。

  • 肛門直腸のポリープ
  • 内痔核の悪化
  • 直腸がん

上記からも分かるように。偽の残便感は健康を大きく損なう病気が原因である可能性があります。よって、長期にわたって残便感を感じているのであれば、一度医師の診察を受けるのがおすすめです。

残便の改善には運動と食事の改善が重要

残便の原因は腸の運動量の低下である可能性が高いです。腸の運動量を高めたいのであれば、運動が有効になります。ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなどを日常に取り入れ、自律神経を整えましょう。
また、食物繊維と発酵食品を多く摂取し、便を理想の状態にすることも残便感の解消につながります。和食なら食物繊維と発酵食品をバランスよく摂取できるので、意識的に食べるのがおすすめです。
残便感の原因が本当に残便なのかを確かめることも重要です。便が残っていることが残便感の原因ではない場合、内痔核やがんが悪化している可能性があります。残便感が続くようであれば、一度医師の診察を受けるのがおすすめです。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。