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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#071「血便が出たらどうすればよいの?」

血便は痔だけでなく、直腸の病気が原因で発生していることもあります。中でも特に重大な病気が直腸がんです。今回は血便が出たときの対処法について、血便を引き起こす病気についての解説も交えてお話ししていきます。

血便は40歳以上であれば検査は必須

血便は裂肛や内痔核といった痔の症状として知られる他、直腸の病気である可能性もあります。40歳以上で血便が出たのであれば、必ず大腸内視鏡検査を受けるのが原則です。40歳を超えると直腸がんのリスクが高まるため、早期に発見するためにも、大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。
世界的にみると、欧州諸国やアメリカでは40歳以上の大腸内視鏡検査を2年に一度行うのが一般的になっています。日本においても、2022年度の死亡原因で直腸がんが女性第1位、男性第2位にランクインしており、今まで以上にリスクが増えていることが分かっています。
また、アメリカでは40歳以上だけでなく、20~30代の直腸がんが増えている傾向にあり、40歳未満でも積極的に大腸内視鏡検査を行うよう呼びかけている状況です。
今後、生活習慣の欧米化などの要因から、日本でも若年層における直腸がんのリスクが高まると考えられます。よって、血便が出た場合は40歳未満でも大腸内視鏡検査を積極的に受けるのがおすすめです。

血便の原因が直腸がんである人の傾向

当院に血便の症状があるということで来院した方で、直腸がんであると診断された方には、血便の症状が出ても放置していたという共通点がありました。血便の原因が痔であると自分で判断し、長期にわたって放置しているうちに、がんの症状が進行してしまうのです。
直腸がんと診断された場合でも、早期であればポリープの切除だけで治療できる可能性があります。先に述べたように直腸がんのリスクは年々増えているので、血便があったら放置せず、なるべく早く医師に相談するようにしましょう。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。