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おしりの医学#072「スポーツをすると外痔核が腫れるのはどうして?」

運動は痔が悪化する原因になることがあります。特にマラソンのような負荷の大きい運動を行った後は痔の症状が悪化しやすいです。今回は運動で痔ができる仕組みや、痔の悪化を予防する方法について解説していきます。

運動で外痔核ができる仕組み

運動後に外痔核が腫れる場合、前提として肛門の中に炎症が存在するということになります。基本的に、運動によって痔核が発生するということはありません。元々軽度の炎症がある状態で運動をし、炎症が外に広がった結果、外痔核の症状が現れることがあるのです。
特に見落としがちなのが肛門の中にできる小さな内痔核です。内痔核は炎症を起こして大きくならない限りは目立った症状がありません。よって気づかずに痔が悪化するような行動をしてしまいがちです。慢性的に炎症が悪化し、運動によって身体に負荷がかかると、症状が広がって外痔核ができてしまう可能性があります。
当院にもマラソンなどの運動の後に外痔核ができたと来院される方がいらっしゃいますが、元々症状がない程度の内痔核があって、運動の負荷で悪化したというケースがほとんどです。

負荷の大きい運動の前に準備することが重要

特に負荷の大きい運動をする予定がある場合、事前に準備や確認をしておくことが重要になります。例えばマラソン大会はかなり身体に負荷がかかるので、当院の場合参加する患者様には3ヶ月前から痔の症状をチェックしています。加えて、本番の1週間前に症状がある場合は座薬などで炎症をコントロールし、症状の悪化を予防することが多いです。
以上のように、運動前に痔の炎症をコントロールすれば、外痔核が新たにできる可能性を大幅に減らすことができます。痔の悪化を防ぐためには、運動する前日や当日の準備も重要です。例えば、前日の夜更かしや大酒など、痔の症状を悪化させるような行動は極力避けましょう。
また、当日は早めに起床し、余裕を持ってトイレにいくことも重要です。以上のように、運動の負荷以外の痔が悪化する要因を減らせば、症状が悪化する可能性を低くできます。当院の患者様の中には、本番の2時間前に現地入りし、余裕をもってトイレすることで、運動後の痔の悪化に困らなくなったという方もいます。

痔の症状がなくても負荷の大きい運動の前には診察を受けよう

今回は運動で外痔核ができる仕組みや、事前準備の重要性について解説してきました。運動後に痔ができてしまう場合、症状がなくても内痔核ができている可能性が高いです。よって、運動によって痔を作りたくない場合は、事前に医師の診察を受け、軽度の痔ができていないかチェックしておきましょう。
もし軽度の痔ができていた場合は、運動前から治療を行い、炎症のコントロールを行うことで、症状の悪化を予防することができます。また、運動前日や当日に痔の悪化に繋がるような行動を避け、痔が悪化する要因を運動のみにすることも重要です。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。