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おしりの医学#098「『腸内環境が悪くなる要因は?』~腸内細菌叢クイズ①~」

今回の動画では腸内細菌叢クイズと銘打ち、腸内細菌叢に関するクイズを出題しました。食習慣や運動など、腸内環境に影響を与える要因には様々なものがありますが、最も腸内細菌叢への影響があるのは何なのでしょうか?今回は腸内環境を整えるために意識すべき要因について解説します。

腸内細菌叢に対する影響が大きいのは薬剤

腸内細菌叢への影響が大きいのは以下の順になります。

  • 薬剤
  • 疾患
  • 年齢・性別
  • 食習慣
  • 生活習慣
  • 運動習慣

最も腸内細菌叢への影響が大きいのが薬剤です。腸内環境への影響が大きい薬剤としては抗生物質が広く知られていますが、他にも以下のようなものが腸内細菌叢に悪影響を与えます。

  • 糖尿病治療薬
  • 胃酸分泌抑制薬
  • 抗血栓薬
  • 循環器疾患薬
  • 脳神経疾患薬
  • 抗がん剤
  • 筋骨格疾患薬
  • 泌尿器・生殖器疾患薬

とはいえ、薬剤の使用を中止した方が良いというわけではありません。重篤な疾患がある場合は、腸内環境の改善よりも疾患の治療が最優先になります。
薬剤の治療を中止した後に腸内細菌を定着させるようなサプリメントの接種や食事を行えば、最後腸内環境が改善する可能性が高いので、まずは疾患の治療に注力しましょう。

胃酸抑制薬とα-GIの併用は特に腸内環境への悪影響が大きい

薬剤の中でも、特に胃酸分泌抑制薬と糖尿病治療薬の1種である「α-GI」の併用は悪影響が大きく、腸内細菌叢の多様性を低下させるという報告があります。胃酸は食事の際に侵入してくる細菌を滅菌する役割を持っているため、胃酸を抑制すると悪玉菌が腸に到達しやすくなってしまいます。
加えて、α-GIには腸における糖類の吸収を抑える役割があるため、腸内に糖類がとどまり、細菌が増えやすくなります。結果として悪玉菌が増えやすい環境が整い、腸内環境の悪化につながると言われています。治療のために胃酸抑制薬とα-GIを併用している場合は、特に治療完了後に腸内環境の下位勢に努めた方が良いでしょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。