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おしりの医学#111「内痔核の手術後、排便は普通にできますか?」

今回もライブ配信第3回にいただいた質問についてお話しします。「内痔核などの手術を行った際、その後に排便はうまくできるのでしょうか?またお風呂はすぐに入れますか?」という質問をいただきました。そこで今回は、内核痔の手術後の経過や排便や入浴についてのポイントについて解説します。

内核痔の手術後も問題なく排便できる

内痔核の手術では筋肉を大きく切るわけではないため、術後も通常通り排便が可能です。ただし、術後3日程度は強い痛みを感じる可能性があります。また、術後の炎症が原因で便秘や下痢になることも珍しくありません。加えて、肛門の筋肉の締める力や緩める力が一時的に弱くなるため、排便時に違和感を感じることも多いです。
しかし、上記のような症状は術後1週間程度をかけて徐々に回復していきます。当院の患者では手術翌日から普通に排便できる人もおり、痛みや違和感の感じ方には個人差があると言えるでしょう。
特に大きな内痔核の場合、手術侵襲が加わって大きく腫れやすくなります。大きく腫れた場合は座薬タイプの痛み止めが出しづらいため、無理をせず安静に過ごすことが重要です。
ただし、手術後に大きく腫れた場合でも、一般的には1週間程度で通常の状態に戻ります。術後の症状の改善が遅い場合は、安静にしつつ医師に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
より術後の排便をスムーズにするためには。適切な食事と水分補給を行うことが重要です。食物繊維が豊富な食事を心がけ、水分を十分に摂ることで、便が正常に近づき、排便時の負担を減らすことができます。
加えて、軽いウォーキングなどの適度な運動を行うことも、腸の動きが活発になり、排便がスムーズになるので有効です。ただし、無理な運動は術部に負担が大きいので、医師と相談しつつ適切な運動量に調整することが重要になります。

内核痔の手術後の入浴について

入浴は筋肉を一時的に柔らかくし、排便をスムーズにするため、手術後の肛門の負担を減らすのに有効です。また、炎症の改善や痛みの軽減にも効果があるため、手術後の回復が早くなる可能性があります。
ただし、手術直後の入浴は術部に悪影響を及ぼす可能性もあるため、避けたほうが賢明です。当院では、手術後3日目からの入浴を推奨しています。
また、入浴後は、傷口を優しく乾かし、清潔な状態を保つことが重要です。感染症を防ぐためにも、タオルで傷口をこすらず、軽く押さえるようにして乾かすようにしましょう。加えて、入浴後は体を暖かく保ち、冷えないように注意することも大切です。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。