Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#112「日常生活で使えるおしりに良いグッズ」
今回もライブ配信第3回にいただいた質問についてお話しします。「治療を続ける中で、日常生活で使用すると便利な椅子や座布団など、便利なグッズをご紹介頂けませんか?」という質問をいただきました。そこで今回は、日常で使える痔の改善に有効なグッズを紹介していきます。
痔の改善におすすめなグッズ
いぼ痔の症状は以下の通りです。
- クッション
- 身体を温めるグッズ
基本的にはお尻にかかる負荷を軽減できるものや、身体を温めるグッズが痔の改善に役立ちます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.クッション
座る時に使用するクッションはお尻にかかる負担を軽減してくれるので、痔の改善に有効です。特に有効なのは以下のようなものになります。
- ドーナツクッション
- ハニカム構造のクッション
- エアクッション
ドーナツクッションは中央に穴が開いた円形のクッションです。クッション部分によって自重が分散されるだけでなく、穴があることで肛門付近が浮くので、肛門付近が直接圧迫されなくなり、血行が悪くなることを防げます。
内痔核の原因の1つに肛門付近の血行不良があるので、ドーナツクッションを使用することで、内痔核の発症リスクの低減や、症状の改善が期待できます。また、尾骨付近にも圧力がかからなくなるので、尾骨の痛みにも有効です。
次にハニカム構造のクッションです。ハニカム構造のクッションは、文字通りハチの巣状の構造をしているクッションで、一般的にクッション以上に圧力を分散させる効果が高くなっています。
結果的にお尻全体にかかる圧力を低減できるため、痔の予防や改善に有効です。また、ハニカム構造のクッションは通気性にも優れているため、お尻が蒸れてかゆくなるなどの症状も抑えることができます。
最後にエアークッションです。エアークッションは空気で膨らませるタイプのクッションで、空気量で硬さを調整できるのが最大の特徴となります。自重に合わせて負担のない硬さに調整することで、お尻への負担を軽減することが可能です。
2.身体を温めるグッズ
身体を温めるグッズも、痔の改善には有効です。特に腹部や下半身を温めることで、お尻の周りの血行が促進され、痔の症状の改善が期待できます。特に脚の筋肉は第二の心臓とも呼ばれており、全身の血行に深く関係しているため、脚を冷やすことは痔の悪化に繋がりやすいです。
裏を返せば、カイロやホットカーペット、防寒性の高い衣服などで脚を温めれば、全身の血行が良くなり、痔の改善が期待できます。冷房が効いている場所など、脚が冷えやすい場所に長時間いる場合は、脚が冷えないように注意しましょう。
また、腹巻などで腰や腹部を温めるのも有効な手段です。腰や腹部を温めることで血行の改善に繋がる他、腸が冷えることを避けられるので、腸の不調で排便の異常を予防できます。
痔の改善に繋がるグッズを使って痔を改善しよう
痔の改善に繋がるグッズは大きく分けて、お尻の負担を軽減するものと血行を改善するものの2つがあります。日常におけるお尻の負担権限についてはクッションが有効です。ドーナツクッションやハニカム構造のクッションは、座った際に肛門付近にかかる圧力を低減してくれるので、痔の改善に繋がります。
また、血行の改善には下半身や腹部、腰を温めるグッズを使うのが有効です。カイロや腹巻などを利用して該当箇所を温めれば、全身の血行が良くなり痔の悪化を防げます。以上のようなグッズをうまく活用して、痔の改善を目指しましょう。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。