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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#115「糖尿病患者の痔の治療の注意点は?」

今回もライブ配信第3回にいただいた質問についてお話しします。「持病の糖尿病があり通院治療中です。痔の治療に関して何か注意すべきことなどはありますか?」という質問をいただきました。
糖尿病患者は他の病気や症状の治療においても特別な注意を払う必要があります。痔の治療においては、使用する薬や治療法が糖尿病の管理に影響を与える可能性があるため、慎重な対応が求められます。本記事では、糖尿病患者が痔の治療を受ける際に注意すべき点について解説します。

糖尿病患者はステロイドの使用に注意が必要

糖尿病患者が痔の治療において注意すべき点としては、ステロイド薬の使用があります。ステロイドには抗炎症作用があり、痔の炎症やかゆみを抑えるのに効果的です。しかし、ステロイドを長期的に使用すると食欲を増進させるため、過食による血糖値の上昇を引き起こすこともあります。
また、わずかに血糖値を高める効果があるため、糖尿病患者が使用すると症状が悪化する可能性があります。他にも、ステロイドを長期使用すると皮膚が薄くなる副作用があるので、傷ができやすくなったり、感染症のリスクが高まる恐れがあります。糖尿病患者は既に免疫機能が低下していることが多いため、感染症には特に注意が必要です。そのため、糖尿病患者はステロイドの座薬などを長期間使用するのは避けた方が良いでしょう。
一方で、非ステロイド薬の場合は上記のような懸念事項が存在しないため、糖尿病患者でも安心して使用できます。よって、痔の治療の際には事前に医師に情報を伝えることが重要です。

痔の治療の前に医師に伝えるべき情報

糖尿病患者に限らず、痔の治療を受ける際には、自身の身体に関する情報をできるだけ医師に伝えることが重要になります。特に伝えたい情報としては、既往歴と服用している薬です。持病や現在の薬の情報を医師に提供することで、医師が最適な治療法を選択できるので、副作用や相互作用のリスクを最小限に抑えることができます。
医師としても、持病や既に使用している薬については必ず聞くようにしているため、包み隠さずに情報を提供していただけると幸いです。
疣の治療を受けている糖尿病患者は、日常生活でもいくつかの注意点を守ることが求められます。まず、血糖値の管理を徹底する必要があります。食事療法や運動療法を継続し、定期的な血糖値の測定を行いましょう。また、患部のケアを怠らず、傷や感染の兆候がないか日常的にチェックすることも重要です。

糖尿病患者は使用する薬に気を付けよう

糖尿病患者が痔の治療を受ける際には、ステロイドの使用を避けることが推奨されます。また、医師に自分の健康状態や服用している薬について正確に伝えることが、適切な治療を受けるために重要です。
加えて、日常生活でのケアを怠らず、健康状態をしっかりと管理することで、糖尿病患者でも安全に痔の治療を行うことができます。以上の点を踏まえ、医師と相談しながら最適な治療を行いましょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。