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おしりの医学#116「排便に良い食事や運動は?」

今回もライブ配信第3回にいただいた質問についてお話しします。「自分は脱肛三度です。乙字湯を使っていた時期は排便がスムーズでしたが、乙字湯は下剤だからあまり使わない方が良いという話を聞いて、服用を控えました。そこで、スムーズな排便を促す食事また体操などがあれば教えてください。」という質問をいただきました。
排便の改善は、健康な生活を送るための重要な要素です。実際に食事と運動の見直しは、スムーズな排便に効果があります。本記事では、具体的な食事や運動方法について詳しく解説します。

排便に良い食事

まずは食事についてです。スムーズな排便を促す際に摂りたい栄養素としては、水溶性食物繊維があります。日本人の水溶性食物繊維の平均摂取量は、厚生労働省の推奨量に比べて不足気味です。水溶性食物繊維の摂取量を積極的に増やすことで、腸内環境を改善し、スムーズな排便を促すことができます。
昆布やわかめなどの海藻類は味噌汁やサラダといった料理に気軽に取り入れやすく、水溶性食物繊維が豊富に含まれています。他にも芋類や、オクラや納豆といったネバネバした食材も水溶性食物繊維を豊富に含んでいます。ただし、水溶性食物繊維は体質や腸の手術をした後など、摂取を控えるべき場合もあるので、可能であれば専門家の意見を聞くのが良いでしょう。
水溶性食物繊維以外には、発酵食品を積極的に摂取することもおすすめです。ぬか漬けやヨーグルトなどの乳酸発酵食品は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。ただし、キムチのように香辛料を多く使用しているものは、摂取しすぎると腸を刺激してしまう可能性があるので注意しましょう。

排便に良い運動

次に、排便を促進するための運動について見ていきましょう。排便を促進するためには、姿勢の改善と腹筋のトレーニング、ウォーキングなどが効果的です。加齢やデスクワークなどで姿勢が悪くなっていると、腸の働きを妨げられてしまいます。背筋を伸ばし、肩を後ろに引くなど、意識的に姿勢を正すことで、腸の圧迫を避けることが可能です。
また、腹筋のトレーニングは姿勢の改善に効果があります。また、腹筋を鍛えることで腸の動きを活発にできるので、スムーズな排便がしやすくなります。
続いてウォーキングです。ウォーキングで足の裏を刺激することで、腸の動きを活発にすることが可能です。特に効果を実感したいのであれば、1日7000歩を目標にウォーキングするのが良いでしょう。
他にはストレッチも腸の動きを助ける運動として効果的です。特に、腰や腹部のストレッチは、腸の周りの筋肉をほぐし、排便を促進します。以上のような運動を日常に取り入れることで、スムーズな排便を実現することが可能です。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。