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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#117「症状別治療のプロセス①〜内痔核(いぼ痔)」

一般的な痔の症状として知られる内痔核は、症状が進行すると手で戻す必要が出てくるなど、日常生活に支障をきたします。手術での切除が必要と考える人も多い内痔核ですが、実は保存的療法で治療できることが多いです。今回は内痔核の治療方法について、専門医としての知見を解説します。

内痔核(いぼ痔)の症状と原因

内痔核はいぼ痔とも呼ばれ、肛門内の血管が膨らんでできる状態です。長時間座りっぱなしの状態や、排便時の強いいきみが原因で発生します。症状が進行すると、いきんだ際に肛門の外に飛び出し、排便時に戻さなければならなくなることがあります。重症化すると手で戻さないといけないこともあり、日常生活に支障をきたします。
一般的に、内痔核の治療は保存的治療で行います。保存的治療では薬物療法と生活習慣の改善を行うのが基本です。治療期間は通常3ヶ月間とし、その間に効果を観察します。
薬については効果に個人差があるため、10日前後で再診を行い、治療の進行具合を確認します。
生活習慣については初診の際に相談し、食事や運動習慣についての指導を行います。以降は2週間~3週間おきに経過を観察し、状態が良くなっていれば、徐々に薬を減らしていくことが多いです。
具体的には、アルコールの摂取を控えることや、食物繊維が多い食事を積極的に摂取することが挙げられます。また、起き抜けに水を飲むようにしたり、ウォーキングや姿勢の改善に繋がる腹筋運動を行うことも、内痔核の改善に繋がる可能性が高いです。

痔の症状が改善されない場合は手術を検討

保存的治療が効果を示さない場合、手術を検討することになります。しかし、手術はあくまで最終手段です。多くの場合、生活習慣の改善や薬の調整によって症状が改善するため、手術が必要になることは少ないです。
具体的には、保存的治療で3ヶ月経過しても出血が止まらない、肛門の外に出てくる痔核が戻らない場合などに手術を検討することになります。

内核痔は保存的療法で十分に治療できる

内痔核(いぼ痔)は、肛門内の血管が膨らんでできる状態であり、生活習慣の見直しと保存的治療が基本となります。保存的治療では、薬物療法と生活習慣の改善を行い、多くの患者はこれで症状が改善します。
保存的治療が効果を示さない場合には手術を検討しますが、基本的には保存的療法で治療できる可能性が高いです。痔の治療をする際は、医師と相談をし、適切な治療を行うようにしましょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。