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おしりの医学#130「【痔瘻の手術相談①】一次口は歯状線より高い位置にできることはありますか?」

痔瘻に関する手術や術前・術後の質問にお答えする形です。今回は痔瘻の一次口の位置についてお話します。

発生学的背景

肛門陰窩という部分は、四つ足の動物がフェロモンを分泌していた名残とされています。この肛門陰窩に大腸菌などが感染し、痔瘻を引き起こすことが多いです。発症箇所は通常、皮膚側(外胚葉由来)に見られますが、直腸側(中胚葉由来)に異常が生じる場合もあります。

一次口の位置と直腸穿破

通常の痔瘻では一次口は歯状線の位置に形成されますが、一次口が歯状線より高い位置に現れることがあります。この現象は、直腸に向かって管が伸びていく「直腸穿破」と呼ばれる状態によるものです。直腸穿破が起こると、歯状線を越えて、直腸側にさらに穴が開くことがあります。

稀なケースとしての肛門陰窩

実際に、痔瘻が歯状線より1cm程度高い位置に発生した事例も経験しており、肛門陰窩以外にもできることは、もしかしたらあるのかもしれないという風に考えています。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。