痔瘻[じろう](あな痔)
痔瘻の検査と診断
痔瘻と診断されると、100%手術が必要になります。したがって、専門医は慎重に検査をして診断します。検査の方法は、基本的には痔核と同じですが、痔瘻では、双指診という特に有用な診察も行われます。
痔瘻を確実に診断するために行われる検査
すべて手術となる痔瘻では、確実に診断することが大切です。肛門科の専門医は「疑わしきは罰せず」という精神で、確証をつかむまで、次のような検査や経過観察を行います。
問診
肛門周囲のはれや痛み、発熱、うみによる下着のよごれなどを感じて肛門科を受診することが多いのですが、問診では、症状が始まる前の生活状況も聞かれます。多忙などのための肉体疲労、ストレス、かぜ、持続する下痢なども肛門周囲膿瘍の診断の手がかりとなるので、体の状態や生活の様子をくわしく医師に話しましょう。
視診
肛門周囲がはれていないかどうかを調べます。はれのために皮膚の皺がなくなっていることもあります。二次口からうみが出ているのが確認できることもあります。
指診
人さし指を挿入し、前方、左方、後方、右方を回転させながら、肛門管を圧迫して痛みがないか、二次口からうみが出てこないか、肛門括約筋の緊張がどの程度なのかを調べます。肛門周囲膿瘍があると、肛門括約筋の緊張が弱いことが確認できます。
双指診
肛門鏡診
裂肛や内痔核が痔瘻の誘因になっていることがあります。痛みが強いと肛門鏡は挿入できませんが、挿入できたときは裂肛や内痔核の有無を調べます。はれているところを皮膚のほうから圧迫し、肛門腺窩からうみが逆流するかどうかを調べることもあります。逆流が確認できると原発口の部位がわかります。また、肛門鏡を肛門管内に入れたまま、二次口からゾンデを挿入し、ゾンデの先端が原発口から確認できると、原発口の部位がわかり、痔瘻と確定診断できます。