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おしりの医学#017「痔瘻(痔ろう/あな痔)で安全確実な手術を受けるには?」

痔瘻(痔ろう/あな痔)とは?

そもそも肛門は、母親の胎内で胎生8週から9週目ごろに原始直腸が、せりあがってきた皮膚と結合することで形成されます。その結合の名残であるギザギザした組織を歯状線といいます。歯状線の近くには、肛門腺という唾液腺のような組織と、この肛門腺向かって小さく開口している窪みがあります。この窪みを肛門腺窩(せんか)といいます。
肛門腺窩には勢いの強い便が入り込んでしまうことがあります。痔瘻とは、この肛門腺窩に入り込んだ便が逆流し、肛門腺で炎症を起こすことで、破壊された肛門腺が皮膚とバイパスのように繋がった状態を指し、それぞれ直腸側に開いた穴を原発口、破壊された肛門腺を原発巣、皮膚に開いた穴を二次口といいます。
痔瘻は放置するとガン化する可能性もある病気ですので、診断を受ければ10日~2週間の入院を要する手術を受けなくてはいけません。

痔瘻の理想的な手術のポイント

痔瘻の手術は、原発口、原発巣、二次口を全て除去する必要がある、大変難しい手術です。この難しい手術を安全で確実にするポイントは、これらの病巣を確実に取り、かつ傷を小さくするところにあります。また、痔瘻は肛門を締める筋肉である括約筋を貫いて存在しているため、この筋肉を傷つけないように手術することで、痛みも少なく、術後に便が漏れることも防ぐことができます。
経験の少ない医師ですと、原発口、原発巣、二次口の複雑な組織を正確に切除することが難しく、取り残してしまうことや、周辺の組織ごと大きく切除して肛門の機能を損なってしまうことがあります。当院には他の病院で手術をしても再発し10回も手術したのに治らないとか、年を経て便が漏れるようになったという患者様が全国から当医院にお越しになります。
理想的な手術の具体的な手順は、直腸側から掘り進むようにして原発口と原発巣を切除し、皮膚側から二次口を取り、括約筋を貫いている管を残すことと言えるでしょう。これが、筋肉を傷つけないように施術することを可能にします。

痔瘻の診断を受けたら

このように難しい手術を確実に行ってもらうには、経験豊富な肛門領域の指導医の執刀を受ける必要があります。肛門領域の指導医になるには、医学部での就学の後、外科の専門医になり、肛門の専門医になるという、しめて15年ほどの経験を必要とします。そのため全国でも110人ほどしか存在しておりません。
当院ではその指導医が基本2人1チームで手術を行い、かつ1日に3例までしか執刀を行わないようにしています。それは、どんなに腕の良いピッチャーでも10試合投げ続けることが不可能であるように、医師についても同じことが言えると考えているからで、確実にミスのない手術を行ってもらうために必要だと思うからです
また、炎症が酷いときに施術を受けると悪化してしまう可能性もありますから、診断を受けたらすぐに手術、と結論づけるのではなく、医師にきちんと経過を診てもらい相談にのってもらうことが大切です。
そして安全確実な手術を受けるためには、事前に多くの経験を積んだ指導医の意見をしっかり聞き、手術の手順や、何名の指導医が手術に立ち会うのか、その医師が日に何例執刀しているか等を確認し、自分自身で納得した上で臨むことが秘訣と言えるでしょう。
痔瘻の手術は一生ものの買い物と言えます。何もわからない状態で大きな買い物をする人はいないでしょう。痔瘻についても同じように、医師に指示されるままに執刀を受けるのではなく自身で考え、判断し、納得できるまで対話を行ってから手術を受けることが大切です。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。

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