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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#019「本当に痔ろう?経験豊かな指導医の診断が重要な理由」

痔ろうの診断は難しい

痔ろうの手術に関するご質問をいただきました。
「痔ろう」という診断をされたら、100%手術が必要になります。なぜなら、痔ろうは保存療法では治せないからです。また、痔ろうはがん化する可能性が高い。痔ろうがんになると肝臓への転移も早いので、予後が不良となる人もいます。
痔ろうの診断をされたら、入院して手術となります。これはもう仕方のないことですが、注意したいのは、「それは本当に痔ろうなのか」ということです。
何人もの専門医が「これは痔ろうである」と診断するような状況であれば、手術すべきであるというのが最近の流れになっています。
私たちの病院でも、他の病院から「痔ろうなので手術してください」という紹介状ありの患者さんがいらっしゃいますが、稀ではありますが痔ろうではなかったというケースもあります。ですので、全国に110人ほどいる肛門科の指導医の数人から「これは痔ろうだ」と診断を受けて初めて、手術になると考えておいてください。

診断も手術も経験豊富な指導医に依頼を

実際の痔ろうの手術について説明します。
痔ろうは、「一次口」から便が入り、これが原発巣となり、皮膚を突き破って「二次口」へバイパスされてしまう病態です。
手術の際は、この「一次口」がどこにあるかを調べますが、難しい症例も多く、正確に見つけることができない場合もあります。ですので、経験豊富な専門医に診てもらうことも必要になります。

一日の手術件数を少なくして集中力と正確さを優先

当院でも、他の病院で治療したが再発してしまった、という患者さんも多くみえますが、一次口の確認を誤ってしまっているケースも見られます。ですので、日本大腸肛門病学会の指導医に診察してもらうことが確実です。
当院では、全国に110人しかいない指導医が二人一組のチームで担当し、1日あたり最大でも3人までしか手術をしません。これは、集中力を高め、正しく痔ろうの手術を行い、可能なかぎり正常組織を切らないという目的のためです。
痔ろうの手術では、I型からIV型までありますが、括約筋を貫いているものが非常に多くみられます。手術の際に、この括約筋を安易に切ってしまうと、将来的に括約筋が弱まり、便が漏れてしまうことがあります。ですので、いかに括約筋を傷つけずに手術を行えるかが、非常に重要なポイントになってきます。正常組織を傷つけず、しかし確実に病巣・原発巣を確実に除去する。一見矛盾するこの二つを両立させるためにも、一日あたりの手術件数を減らし、対応しています。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。

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