痔は切らずに治す

痔の原因

痔を悪化させる6大要因

痔は、肛門周辺の炎症がきっかけとなって起こります。人間には、健康を守るために免疫力がそなわっていますが、体の機能が低下すると免疫力も衰え、肛門が炎症を起こして痔を発症します。

痔の元凶は肛門周辺の炎症

を大別すると、「痔核」「裂肛」「痔瘻」の3種類があります。いずれのタイプの痔でも、痔を誘発して症状を悪化させる危険因子は、肛門周辺に起こる炎症です。

もともと人間の体には免疫能があり、外部から侵入した細菌やウィルスなどを撃退して排除し、健康を維持するように働いています。免疫をつかさどるのはリンパ球のT細胞やB細胞、その他の白血球などです。

特に口腔内と膣内、肛門内の3ヵ所では、局所免疫といって体を守る働きが強力になっていて、病原菌の感染や炎症が起こりにくくなっています。

人間の体を攻撃し、健康をそこなう作用をする要因を攻撃因子といい、ウィルスや細菌などがあります。これらの攻撃因子から健康を守るため防御因子となる機能が人間の体にはあり、免疫機能があります。

人間の体は、病気を引き起こす攻撃因子と防御因子がバランスを保つことで健康が保たれているのです。

肛門に炎症を起こす6大要因

日常生活で、肛門に炎症を起こす原因となるものには、「便秘・下痢排便の異常」「肉体疲労」「ストレス」「冷え」「飲酒」「女性の生理」の6つがあります。

これらの炎症の原因を、攻撃因子の増大と防御因子の低下と考えると、わかりやすくなります。肛門を通過する便は、きたない老廃物で、アルカリ性であるために、もともと肛門の皮膚粘膜にとって炎症を起こす攻撃因子であるといえます。便秘・下痢の排便の異常は、攻撃因子の増大です。アルコールも炎症を起こす物質なので、飲酒をすると攻撃因子を増大させることになります。

また、肉体の疲れやストレスは、肛門の局所免疫力を弱めるので、防御因子の低下を引き起こします。

健康な人の肛門が痔にならないのは、局所免疫という防御因子と攻撃因子とがうまくバランスがとれているためですが、痔の6大要因である「便秘・下痢(排便の異常)」「肉体疲労」「ストレス」「冷え」「飲酒」「女性の生理」がこのバランスをくずすと、痔を引き起こしたり、悪化させたりします。、もし、自分の便を手に塗ってそのままにしておいたならば、手の皮膚は炎症を起こして赤くなっているはずです。便は、アルカリ性で、細菌がいっぱい含まれているためです。

便秘の人は、このような便を直腸や肛門に何日もため込んでいるのですから、肛門が炎症を起こしてあたりまえといっても過言ではありません。

攻撃因子が100で防御因子が100であれば、両者のバランスが保たれていて健康な状態なので、肛門に炎症は起きませんが、攻撃因子の力が120に増大したり、防御因子が80に低下すると、炎症が起きて痔になるのです。

これらを整理すると、攻撃因子が増大して痔になるケースが「便秘・下痢(排便の異常)」「飲酒」「女性の生理」の3つで、防御因子が低下して痔となるケースが「肉体疲労」「ストレス」「体の冷え」の3つになります。

攻撃因子と防御因子

便秘・下痢(排便の異常)

便秘のときに、かたい便をいきんで排便すると、肛門の粘膜に傷がつくので、そこから便の中の細菌に感染して炎症を起こし、裂肛や内痔核になりやすくなります。また、きたない便を何日もとどめておくことになるので、炎症の原因になります。

慢性の下痢も便が勢いよく肛門を通過するときに、肛門の粘膜を傷つけて裂肛になったり、肛門腺窩に入って細菌感染痔瘻の原因となることがあります。

便秘のときにいきむと、肛門のクッション部に大きな腹圧がかかり動静脈叢が拡張するため、痔核になります。

肉体疲労

運動や肉体労働による肉体疲労は、筋肉に疲労物質をため、痔を誘発します。また、局所免疫力も低下するので、肛門内部に炎症が起こりやすくなって、痔をまねきます。

ストレス

人間の免疫力は、心の状態によって高まったり、低下したりすることがわかっています。たとえば、ストレスや悲しいことがあると、免疫力は低下し、よく笑って楽しく過ごすと免疫力は高まります。このことを研究するのが精神神経免疫学です。

ストレスは、免疫力を低下させるので、細菌に対する抵抗力がなくなって肛門が炎症を起こしやすくなります。もともと肛門はきたない便が通過するところなので、おびただしい細菌と接触しています。ストレスによって肛門の防御因子である局所免疫力が低下すると、攻撃因子がまさって肛門に炎症が起こり、痔の症状があらわれます。

現代社会では、ストレスが常にわたしたちに刺激をあたえているので、免疫力が低下し、痔をまねきやすい体の状態になっているといえます。免疫力を高める方法は、あとで述べます。

冷え

体が冷えると、肛門周囲の血管が収縮して血液の循環が悪くなり、うっ血するので炎症が起こりやすくなります。

エアコンの普及によって、夏なのにお尻を冷やして痔になる人がふえており、痔は夏の病気といわれるようになりました。エアコンの冷やしすぎには、十分に注意をしてください。

特に、コンピュータを多く設置している部屋や、スーパーの生鮮食料品コーナーなどは温室が低くなっているので、そこで働いてる人たちは冷えすぎないように、注意が必要です。

お尻を清潔に保つためにも、排便のあとすぐに入浴や、お尻だけをお湯につける座浴をすると、血行がよくなって痔の原因の一つであるうっ血が取り除かれ、症状が改善されます。ただし、痔瘻の場合は、細菌感染による化膿が原因なので、温めると化膿がひどくなって痛みが増すので、温めてはいけません。

飲酒

飲酒のしすぎも、痔を誘発します。お酒の主成分であるアルコールが、血管を拡張して炎症を引き起こす物質だからです。アルコールは、肛門に炎症を起こす攻撃因子です。攻撃因子の増大を防ぐためには、飲酒の量は、心身の緊張をほぐす程度にしてください。あくまでも自分の体調に応じてですが、1日に、ビールならば中びん1本、日本酒ならば1合、ワインならばグラス2杯ぐらいが目安です。

女性の月経前後の肛門炎症

月経の前や月経中に、便秘になったり、逆に下痢になったりして、排便の以上を訴える女性は意外と多いものです。

月経中の肛門粘膜を観察すると、炎症を起こしているケースがほとんどです。原因は排便の異常だけではなく、月経そのものによって炎症を起こしている可能性があります。

くわしいしくみは、まだ、わかっていませんが、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)が月経前から月経中にかけて急激に低下することが原因ではないかといわれています。

月経は病気ではなく、また、たいていは周期的にくるので予測は容易です。

対処法としては、自分が月経前や月経中に便秘になりやすいのであれば、月経の数日前から、豆や海藻などの食物繊維の多い食品やヨーグルトを積極的にとって便をやわらかくする工夫をしておくとよいでしょう。

また、月経中は肛門に炎症を起こしやすいので、睡眠時間を1時間長くしたり、仕事量を10%減らしたりするなど、肛門にストレスがかからない生活をする努力が必要です。

これらの痔をまねく攻撃因子を排除するには、食物繊維をたっぷりとって便秘を防ぎ、また、休養や睡眠を十分にとって疲労やストレスを解消し、免疫力を回復させることが大切です。

病気を治し、予防するのは本人の自然治癒力

人間の健康は、外部からの攻撃因子と体内の防御因子とのバランスで成り立っています。

外界から体内にウィルスや最近が侵入すると、白血球やリンパ球などの免疫細胞が働いて侵入者を排除し、健康を回復させようとします。

病気になると、熱や汗が出るのは、免疫細胞が外敵と闘っている症状の一つといえます。

痔に限らず、病気を治し、健康を取り戻すのは、本人の自然治癒力によります。医師や薬は、その手助けをしているにすぎません。

したがって痔の治療でも、免疫力などの自然治癒力を高めて、外的攻撃因子と内的防御因子のバランスを保つことが重要になります。

痔を発症させたり、悪化させたりする「便秘・下痢(排便の異常)」「肉体疲労」「ストレス」「冷え」「飲酒」「女性の生理」の6大要因から体を守るライフスタイルを日ごろから心がけることが大切です。

痔を悪化させる6大要因
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